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夫の声に、手が止まる

今夜の献立に追加するもの

  • ベランダのバジル 3枚
  • 塩ひとつまみ
  • olive oil 大さじ1

「これ、ベランダのバジル使えるよ」

夕食の支度の途中、夫の声がキッチンに落ちた。私は包丁を置き、ベランダへ歩いた。

7月上旬のベランダ。バジルの葉はすでに手のひら大になり、縁が少し丸まっている。摘むのは一番上の新芽だけ。そうすると脇芽が出て、また大きくなる。

「3枚でいいよ」

葉を指で折ると、青臭い香りが指に付いた。この香りがパスタに入ったら、夏らしい軽さになる。

摘むタイミングが、味を決める

ベランダのハーブ、摘むのは夕方。昼間に日光を浴びて香りが一番凝縮する時間帯だから。

バジルなら、花が咲く前に摘む。咲いてしまうと葉の味が落ちる。まだ蕾も見ていないか確認する癖がついた。

ローズマリーは乾燥に強いから、水やりを忘れても大丈夫。でもバジルは毎日様子を見ない。葉がしおれてきたら、それが「飲んで」というサイン。

食卓に届く距離

ハーブを育てて思ったのは、食卓までの距離が短くなったこと。

以前はスーパーの棚から袋を取って、キッチンへ運んでいた。今はベランダからキッチンで3歩。その短さが、料理を始めるハードルを下げる。

「今日はバジルあるから、パスタにしよう」

夫がそう言う時、私はなぜか嬉しくなる。育てたものが、家族の言葉になる。

ベランダを始める人に

もしハーブ栽培を始めるなら、バジルかミントから。どちらも育てやすく、キッチンで使える。

ベランダのハーブは、食卓を軽くする道具。
摘むこと自体が、一日の区切りになる。